「Web業界はやめとけ」
そんな話を耳にしますが、実際どうなのか?
現役Webマーケター兼Webディレクターの僕の経験から「Web業界やめとけ説」のホントのところを解説します。
忙しい/残業・休日出勤が多いからやめとけ説
「Web業界は忙しい/残業・休日出勤が多いからやめとけ」
会社によっては本当。
下請け、孫請け、SES(客先常駐)として働いている人は忙しいと思います。
僕も未経験でWebディレクターに転職して2社で客先常駐で働いていましたが、「クライアントが企画や戦略を練る→下請け企業が作る」というフローです。
基本的にお客さんの都合で納期が決まり、それが絶対。
ひどいクライアントに当たって方針が二転三転振り回されるなんてこともあります。
なので、下請けの制作会社は結構大変な時期があります。
お客さんは先に帰って、周りをみればいつもの常駐メンバーだけが残って仕事をしてる、なんてこともザラにあります。
平均的に月20時間以上の残業があり、忙しい時は月45~60時間くらいでした。
今は事業会社に転職したので全く忙しくないです。
今は月5~10時間程度。
なにより、自分で業務をコントロールできるのが大きいです。
ポジティブに捉えれば、制作会社や客先常駐で働けば短期間で多くの経験を積めてスキルアップできるのがメリットでもあります。
ライフワークバランスで選ぶなら事業会社か一次請けの制作会社を選ぶと良いと思います。
あとは、僕なんかもそうですが仕事好きな人が多く、「残業=苦」と捉えていない人も多い印象です。
薄利多売で給料が安い/稼げないからやめとけ説
「Web業界は薄利多売で給料が安い/稼げないからやめとけ」
会社や職種により正しい。
給料が安い/稼げないが当てはまるのは例えば次のケースです。
未経験からWebの仕事についた
下請け・孫請けの会社
さほどスキルが求められない仕事
未経験からWebの仕事についた
未経験OKの求人も多く、研修制度が充実している会社も多いのがWeb業界の特徴。
この場合だと教育コストがかかる分、給料が安くなります。
実際僕も未経験OKのSES企業に入社して3か月研修してから現場配属になりましたが、年収相場から50万~100万ほど低く、あまり昇給もしませんでした。
ただ、「未経験からWeb系にキャリアチェンジできること」「Webの現場で経験を積めること」は実力主義のWeb業界では何よりもメリットになります。
がんばって実力をつけて年収を上げたり、副業、転職など、経験と能力があれば選択肢はいくらでもあるからです。
実務経験を積むために敢えて年収を落としてチャレンジする、というのも一つの手です。
下請け・孫請けの会社
Web業界は建設業界と同じく一次請け、二次請け、三次請け…と商流が深くなるビジネス構造を持っている業界。
それぞれの発注の段階で営業利益を取るので、商流が下に行けば行くほど儲けが少なくなります。
→給料にも反映されます
なので、クライアント→一次請け→二次請け→フリーランスの場合など、仕事が来る時点で案件単価が安すぎる!と思うはずです。
これを回避するには、できるだけクライアントに近い立場で仕事をすること。
一次請け、可能なら事業会社で働くことができれば給料問題を解決できる可能性が高いです。
さほどスキルが求められない仕事
ほとんどスキルがなくてもできる仕事は当然ながら給料が低くなります。
いわゆる簡単な市場調査や、原稿をWebサイトに流し込んで更新する、クオリティにこだわらないバナーデザインなど、ライバルが多い仕事です。
Web業界は実力主義。
結局のところ能力次第なところもあるので、スキル次第で年収1000万円以上も狙えますし、副業や独立も他の仕事に比べてしやすいです。
何はともあれ、まずは経験・スキルを積んで自分の市場価値を上げることが大事です。
ブラック企業が多いからやめとけ説
「Web業界はブラック企業が多いからやめとけ」
会社により正しい。
システムトラブル、公開トラブル、表記のミス、炎上案件、長時間残業、休日出勤当たり前、徹夜あり…など。
中にはそういう会社もあります。
ただ、これらの多くは企画を立てる事業会社ではなく、実際にWebサイト・Webシステムを作る制作会社・システム会社で起こることが多いので、事業会社を選ぶといいかもしれません。
あとはなるべくクライアントに近い上流で、下請けの制作会社に発注できるポジションで仕事をするとかですかね。
誰でもできる仕事だからやめとけ説
「Web業界は誰でもできる仕事だからやめとけ」
内容により本当。
たとえば、単にWebサイトを作るだけならオワコンになります。
知識もスキルもなくてもWebサイトを作れる便利なサービスがごまんとあるからです。

ただ、IT・Web業界は人手不足が騒がれているのも事実。
- ユーザー体験まで考えたサイトを作れるWebデザイナー
- Webサービス・システムなど高度なプログラミングができるエンジニア
- Webを使って集客・売上貢献・ブランディングできるWebマーケター
- Webの現場を仕切れるWebディレクター
などの長年の経験や高度な専門スキルをもつWeb人材は常に人が足りていない状況です。
AIで将来性があやしいからやめとけ説
「Web業界はAIで将来性があやしいからやめとけ」
仕事内容により本当。
色違い・テキスト違いのバナーの量産、原稿を流し込むだけのWeb更新、毎月同じ手順でデータを集計・分析する仕事など。
つまり、仕事のやり方や手順が決まっている定型作業/ルーチンワークが多い仕事、高度な判断や調整を必要としない仕事は将来性があやしくなります。
クライアントと対話しながらビジネス課題を洗い出したり、社内で意見を出しながら企画・戦略を考えたり、ユーザーの気持ちを考えてユーザーに寄り添ったコンテンツを作ったり、モノの良し悪しを判断したり、納期・会議・予算・意見などを調整・指揮する、などの仕事はなくならないと思います。
キャリアの選択肢が少ないからやめとけ説
「Web業界はキャリアの選択肢が少ないからやめとけ」
間違い。
たとえばWebデザイナーのキャリアパスを考えてみると、
- WebデザイナーからWebディレクター
- WebデザイナーからWebエンジニア
- WebデザイナーからWebマーケター
と、いずれもよく聞くキャリアパスです。
でも実は、Webディレクターから始めても、Webエンジニアから始めても、Webマーケターから始めてもキャリアパスは同じ数だけあります。
つまり、Web系の職種はWebデザイナーもWebエンジニアもWebディレクターもWebマーケターも全て必要であり、お互いに補完し合っているんです。
(もっとWebの関連職種を増やしても同じです!)
「Webデザイナー ⇔ Webエンジニア ⇔ Webディレクター ⇔ Webマーケター」ということです。
職種の数だけキャリアパスがあると言って良いと思います。
技術がすぐに廃れるからやめとけ説
「Web業界は技術がすぐに廃れるからやめとけ」
技術がすぐに廃れるのは半分本当。
Web業界は変化がめちゃくちゃ早いです。
デザインもプログラミング言語も、流行りのコンテンツも、使用するツールも、検索エンジンも、どんどん進化したり、新しいものが出てきています。
ただ、Webの始まりであり、根幹となるHTML言語はずっと残り続けているし、配色やレイアウト・強調方法などのデザインの基本原則は今も昔も大きく変わらないこと、読者やクライアント目線のコンテンツ作りなど、廃れないところも多いです。
日々勉強し続ける必要はありますが、それが楽しいところでもあります。
離職率が高いからやめとけ説
「Web業界は離職率が高いからやめとけ」
人による。
IT業界全体の離職率は厚生労働省の雇用動向調査の最新データで5%(令和3年上半期・情報通信業)。
これは、離職率の平均8.1%よりも少ないです。
ただ、Web業界に限定していないのと、このあたりは人によるところが多いと思います。
周りを見ても、辞める理由も忙し過ぎてメンタル・体力ともにきつくて辞めた、給料が安いから辞めたなどのネガティブなものも聞きますが、スキルアップやキャリアアップを目指した転職、起業・フリーランス転向など、ポジティブな理由で辞めたというケースも多いです。
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